狂犬病にかかった人間は、極度に活動過剰で、せん妄状態、意識不鮮明の状態になり、たびたび暴力的になる。
とくに水などを飲み込む際に引き起こされる激しい筋肉唾箪によって、古典的な恐水病が引き起こされる。
このような行動の合間には、回復が可能に見える意識のはっきりした時間が散在しているが、一週間かそこらすると受難者は昏睡状態に陥って死ぬ。
こうしたことのすべてが進行している間に、ウイルスは再び移動する。
ウイルスは脳から神経を伝って逆戻りし、今度は唾液腺を含む組織に入る。
ここでウイルスは増殖し、大量のウイルスが感染動物の唾液中に放出される。
この感染動物は狂気の状態にあり、近づくものには手当たり次第に噛みつく。
孤立した大陸に住むオーストラリア人は、死を招く狂犬病ウイルスの恐れから解放されている、あるいは彼らはそう考えていた。
しかし一九九六年十一月、健康な三九歳の女性が突然腕と脚にしびれと刺痛を覚えた。
それから彼女は発熱して堰吐し、王立B病院に入院したときにはすでに完全に進行した脳炎になっていた。
彼女は急速に昏睡に入り、あらゆる救助措置にもかかわらず、死んでしまった。
医師たちは、彼女が死の病気にかかる二、三週間前に自分の可愛がっていた病気のオオコウモリに引っ掻かれていたことを確かめた。
オーストラリアのオオコウモリはかわいくてよくなつく動物かもしれないが、この女性が引っ掻かれるわずか二年前に、この動物はウマ麻疹ウイルスの保有者と同定されていた。
こうして、この女性の物語はウイルスハンターたちに注意を喚起することになった。
彼らが見出したものは、狂犬病ウイルスが属するリッサウイルスの新型であった。
この新型ウイルスは九二パーセント狂犬病に等しく、おそらくそれと同程度の致死力があると思われる。
幸運なことに、この傷から神経を伝って脳へと移動し、そこで増殖して脳炎を引き起こす。
ウイルスはそれから唾液腺などの他の器官へと移る。
唾液腺のなかで唾液中にウイルスが放出されて別の宿主への伝達が可能になる。
このような近い類似性は、狂犬病のワクチンが新しい従兄弟ウイルスにも有効であり、したがって、オーストラリアのコウモリを取り扱う人たちや果物の摘み手たちにとっては、この新型キラーに対する防護策があるということを意味している。
一九八0年代の初期にエイズが突発的に広がったとき、それはどこからともなく出現した。
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